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2005年9月号 |

シアトルに住むお父さんの独り言(飲酒運転よりひどい災難の巻) |
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雨宮敏徳 Japan Radio Co., Ltd.
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飲酒運転を気にしながら外で飲むより、家で晩酌を楽しむのが一番だと思いますが、家族にとっては、これこそが災難となります。週に1度のたまたま通りかかった通行人のような存在であった父親が、アメリカに来てからは頼みもしないのに毎日夕食時にいるわけです。新橋で飲んで帰宅と同時に倒れ込むように寝室に直行した横浜在住当時のお父さんこそ、彼らにとっての理想の父親像なのです。シアトルでは見たい番組も、ソファーの1等席も、スーパーで時間を掛け家族の多数決でひとつだけ買った珍味も、電話に出ない役も、全〜〜部、お父さんが独り占め。お箸を用意する長男と、ご飯をよそう次女。そこで飲みかけのグラスを手に食卓に移動するだけのお父さん。
子供達にとっては、僕は結婚してもこんなお父さんには決してならない。こんな男性とは絶対結婚しない。お父さんだけ、好きなおかずを、好きなだけ。こうして、お父さんが食べた後の残った餃子、肉団子、エビフライなど残った数÷(家族数−1)で計算しながら食べて生きる習性が自然とついてしまったのが、我が家の子供達です。
食事の後は、映画のクライマックスが始まる前にソファーで寝てしまうお父さん。今日学校であったことの話から、「お母さんは、どうしてお父さんと結婚したの?」の話まで、母親と子供達の本当の(正当な)家族の憩いが始まるそうです。その後、愛情あふれた家族は、電気を丁寧に消し、お2階へ静かに移動されます。家長はソファーに残され、飲みかけグラスだけがお父さんの唯一の付き添いです。長男が熟睡に入ったころに突然目が覚めるお父さん。寝ぼけ眼で冷蔵庫から良く冷えたビールをまた出して、今度は下から大きな声で家族全員の名前を呼びます。「XXXちゃん! 元気か!?」。子供は良い環境の中でこそ育つものです。はい。
休みの日といえば、週に1度のバスタブは早めに用意します。「もう今日はどこにも出掛けないぞー」のひと言を発してから、冷蔵庫からビールを取り出しながら、なにかツマミはないかと物色。遊びで疲れ切った息子が寝ているソファーを空けさせ、テレビの野球番組にチャンネルを合わせるのがお父さん。しばらくすると、毎回決まった台詞かのように「今日のおかずをお父さんがもう食べている」と次女の声。長電話を途中で止めた女房が、「お父さん! ……ああ、ゴメンナサイ、主人が」。そこで目が覚めた息子が「お父さんはいいなー」
何がいいのか。私の女房は結婚前から一滴もアルコールを口にしませんから、スーパーでビールやワインなどを買うのは初めから私の役目。それが発展して子供のソフトドリンクを冷蔵庫に入れる役は10年前からお父さんの仕事となってしまった。数ヵ月ぶりに夕飯のために買った刺身を酒のつまみにすると、「お父さんは、マグロ抜き!」の大合唱。お父さんだって、一度でいいからビデオ屋さんで借りてくるホームドラマの通り、素敵な奥様の「お疲れ様」のお酌と用意されたツマミで晩酌を楽しんでみたいんだぁー!
こうして、お父さんのシアトルの1日が終わっていく。
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<プロフィール>
日本に残した大学生の長女に毎日迷惑電話のお父さんと、電話会社に儲けさせているお母さん、色気より食い気の次女、サッカーだけの長男でベルビュー住まい。
1996年10月 英国現地法人JRC(UK)でパブ通い
2001年8月 新宿本社で歌舞伎町通い
2003年4月 名前だけのシアトル支店長
2004年4月 やっと自動車運転免許取得
2004年8月 貴重な引っ越し体験 |
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同筆者による記事のバックナンバー:2004年10月号 | 2004年12月号 | 2005年1月号 | 2005年3月号| 2005年5月号| 2005年7月号 |
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