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2006年5月号 


シアトルに住むお父さんの独り言 
(いろんな旦那様がいるんだぁーの巻)

雨宮敏徳 日本無線(JRC)
 

食器洗い歴3年の忠文オジサン。食料買い出し歴4年の雅也オジサン。アイロン歴5年の恒人オジサン。どのお父さんも、奥様思いで頭が下がります。立派です。今回の話は、こうした教祖様みたいな旦那様でなく、シアトル村にいるヘンテコな旦那様達のお話です。

ヘンテコな旦那様 <その1>
このオジサンは、「目の中に入れても……」の表現通り、ひとり娘の△△ちゃんを異常なほどにかわいがっております。久しぶりの娘さんの一時帰国も、母親でなく父親の同伴が当然と、必要ないのに東京本社での仕事をつくり、ご自身の日本行きを決めてしまったそうです。それほど娘が心配なら手でも握って機内で過ごすのかと言えば、会社が取ったビジネスクラスは娘に譲り、自分はエコノミークラスの席にお座りになったそうです。はるか遠い後部座席から娘さんの様子を見に行くたびに「ビジネスクラスのお客様以外は立ち入り禁止です」と何回も注意をされていたのだと、狭いエコノミー席でなかなか寝つかれなかった主婦Nさんからの情報提供でした。

ヘンテコな旦那様 <その2>
このオジサンは、お酒が大好きです。ベルビューの某日本食レストラン「お寿司が好き」で時々お見掛けしますが、飲み過ぎた後は、家族がいることを忘れる、女房がいることを忘れる、そして帰らなくてはいけないことまでも忘れるそうです。寝ている奥様を携帯電話で呼び出すそうですが、ろれつが回らなく、どの店にいるのか奥様も聞き取れないのも度々だそうです。翌朝は、奥様運転の車で、車を置いた店に立ち寄ってからの出勤となります。尽くしてばかりの奥様も「こればかりは、本当に困ります」と愚痴をこぼしていらっしゃいました。

ヘンテコな旦那様 <その3>
このオジサンは、とても怒りっぽい方だそうです。気に入らないことがあると運転中でも何をするかわからないので、奥様は非常に神経を遣って静かにしているとのことです。シアトルに赴任したばかりのころ、ダウンタウンへ行く途中で、ついうっかり言わなくてもよい口答えをしてしまったそうです。結果は、マーサーアイランドの7番出口で急停止。車の外に出されて、車はそのまま行き去ってしまったそうです。これ以上は書けません。

ヘンテコな旦那様 <その4>
●●オジサンは、家族全員からの強力な団体交渉を受け、昨年末にタバコを止めました。禁煙は続いているのですが、ニコチンが体内にまだ残っているのか、そのイライラを家族にストレートにぶつけます。ある日、とても耐えられなくなった奥様がひと言。「お願いですから、タバコを買ってください!」と、喫煙をおススメになったそうです。

ヘンテコな旦那様 <その5>
このオジサンは、単身赴任だそうです。毎年夏になると、髪を短くし、少しふっくらなさった奥様をお見掛けすると、そのご近所に住む話し好きのご隠居さんタイプのお父さんからお話を伺いました。不思議なことに、夏を過ぎると、その奥様が急に長い髪になったり、痩せ型の長身になったり、怪奇なことが続くとも仰っておりました。

ヘンテコな旦那様 <その6>
このオジサンに、自動車免許の学科試験で落ちた話をしたら、それはお気の毒だとのお言葉をいただきました。駐在5年目を迎えて、3台目の車購入を考えておりますが、免許証はまだ持っていないとのこと。日本に出張で帰国した際に、毎年国際免許証の手続きをしているそうです。

ヘンテコな旦那様 <その7>
このオジサンは、自慢のふたり息子が自分の身長を越すのを楽しみにしてきました。昨年、下の息子さんにも身長を越されたそうですが、なぜか急に元気がなくなりました。正確には、身長を越された時期から、が正しい表現です。理由は、洗濯後の3人分のパンツの分別が年々難しくなってきた奥様が、父親のパンツだけに黒マジックで名前を大きく書いて分別を始めたそうです。人生に疲れかけてきたお父さんにとって、これで自分の青春はすべて終わったと思わせる事件となりました。「息子達に、何もかもお譲り」の悟りが始まり、元気がまるでなくなってしまったのです。

ヘンテコな旦那様 <その8>
●●オジサンは、仕事で疲れてもいないのに、ある休みの日にお昼ごろまで寝ていました。それから、ゆっくりシャワーを浴びて我が人生のささやかな幸せを噛みしめたそうです。熱いシャワーをたくさん浴びて、汗も十分にかきました。今度は、腰にバスタオルを巻いて、子供のように階段を2段飛ばしで、よく冷えたビールをと、一目散に降りて行きました。その日だけ、いつもの「もうお昼ですよ、起きなさぁーい」の年季の入った人間目覚まし時計がやかましくなかったのには何かがあると気が付かなかったそうです。な、なんとその日は、本帰国なさる知り合いの奥様が、ひとり息子さんの進学のことで朝から深刻なお話をしていたのです。玄関に見慣れない女性の靴があるなと、階段の途中で気が付いた時は既に遅かった。「ドタドタ」と降りてきた音で深刻な話が中断され、腰に巻いたオジサンのバスタオルにふたりの目線がしっかり注がれたのでした。

お気付きですか? 上の●●オジサンは“シアトルに住むお父さん”(筆者)のことでした。

<プロフィール>

横浜に長女と次女、ベルビューに妻と長男の5人家族。
1996年10月 英国現地法人JRC(UK)でパブ通い
2001年8月 新宿本社で歌舞伎町通い
2003年4月 名前だけのシアトル支店長
2004年4月 やっと自動車運転免許取得
2005年6月 お手伝い役の次女が本帰国

同筆者による記事のバックナンバー:2004年10月号 | 2004年12月号 | 2005年1月号 | 2005年3月号| 2005年5月号 | 2005年7月号 | 2005年9月号 | 2005年11月号| 2006年1月号| 2006年3月号



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